2026年6月〜2027年5月の試験(法令基準日 2026年4月1日)に対応しています。 内容は2026年4月1日時点の借地借家法の条文で確かめています。

借地権とは

建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権を借地権といいます。 駐車場や資材置き場として土地を借りるだけなら、借地借家法の借地権には当たりません。

普通借地権

項目 内容 根拠
存続期間 30年。契約でこれより長い期間を定めればその期間 3条
30年より短く定めたら 借地権者に不利な特約として無効になり、30年になる 9条
最初の更新後の期間 20年(これより長い定めも可) 4条
2回目以降の更新後の期間 10年(これより長い定めも可) 4条
更新の請求 建物がある場合に限り、借地権者の請求で更新したものとみなす 5条
地主の更新拒絶 遅滞なく異議を述べ、かつ正当の事由が必要 5条・6条
更新がないとき 借地権者は地主に建物を時価で買い取るよう請求できる(建物買取請求権) 13条
第三者への対抗 借地権の登記がなくても、借地上の建物を借地権者の名義で登記していれば対抗できる 10条

定期借地権(更新がない借地権)3種類

一般定期借地権(22条) 事業用定期借地権等(23条) 建物譲渡特約付借地権(24条)
存続期間 50年以上 10年以上50年未満 30年以上
建物の用途 制限なし(住宅も可) 専ら事業用居住用は不可 制限なし
契約の方式 公正証書による等書面(電磁的記録も可) 公正証書に限る 定めなし
期間満了時 更新なし・建物買取請求なし。更地で返す 更新なし・建物買取請求なし 地主が建物を相当の対価で買い取ることで借地権が消える
  • 事業用定期借地権等のうち、30年以上50年未満のものは「更新しない・建物買取請求をしない」旨を特約で定めるタイプ、10年以上30年未満のものは法律上当然に更新などの規定が適用されないタイプです
  • 「一般定期借地権は公正証書が必要」は誤り。書面であればよい(公正証書は例示)
  • 「事業用定期借地権で社宅や賃貸マンションを建てられる」は誤り。居住用の建物は不可

借家権:普通借家と定期借家

項目 普通借家 定期借家(定期建物賃貸借、38条)
契約の方式 定めなし(口頭でも成立) 公正証書による等書面(電磁的記録も可)
事前の説明 不要 貸主は、更新がなく期間満了で終わることを書面を交付して説明しなければならない。説明がなければ更新がない旨の定めは無効
1年未満の期間 期間の定めがない賃貸借とみなす(29条1項) 1年未満でも有効
更新 期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知がなければ、同じ条件で更新したとみなす(26条) 更新なし
貸主からの更新拒絶・解約 正当の事由が必要(28条)。解約の申入れから6か月で終了(27条) 期間1年以上なら、貸主は満了の1年前から6か月前までに終了の通知をしないと、終了を借主に対抗できない
借主からの中途解約 契約の定めによる 居住用で床面積200m²未満なら、転勤・療養・介護などやむを得ない事情で解約を申し入れられ、1か月後に終了
賃料の増減 増減の請求ができる。ただし増額しない特約は有効(32条) 賃料改定の特約があれば、その定めに従う(32条は適用しない)
  • 建物の賃貸借には、民法の「賃貸借の存続期間は最長50年」の規定は適用されません(29条2項)。普通借家は50年を超える期間でも定められます

借家の対抗力と造作買取請求権

  • 建物の引渡しを受けていれば、登記がなくても、その後に建物を買った人などに借家権を主張できます(31条)
  • 貸主の同意を得て付けた畳・建具などの造作は、契約終了時に貸主に時価で買い取るよう請求できます(33条)。この権利は強行規定(37条)に含まれず特約で排除できる点が、借地の建物買取請求権との違いとしてよく問われます

例題

Q. 期間を8か月とする普通の建物賃貸借契約を結んだ。この契約の期間はどうなるか。 A. 1年未満の期間を定めた普通借家は、期間の定めがない建物賃貸借とみなされます(29条1項)。同じ8か月でも、書面で結んだ定期借家なら8か月の契約として有効です。

覚え方のまとめ

  • 普通借地は「30年 → 20年 → 10年
  • 定期借地は「一般50年以上・書面」「事業用10〜50年未満・公正証書・居住用ダメ」「建物譲渡特約30年以上
  • 普通借家は「1年未満は期間の定めなし、通知は1年前〜6か月前、正当事由
  • 定期借家は「書面+事前の説明書面、1年未満も可、200m²未満の住宅は中途解約1か月